>>女子部試合情報
(早稲田スポーツ新聞会提供 記事、成瀬允 写真、榎本透子、平川茜音)
互いのプライドがぶつかり合う早慶定期戦。伝統の一戦を一目見ようと、多くの観客が会場に詰めかけた。「勝つという気持ちは強い」と、闘志を燃やした片柳陽加主将(スポ4=栃木・今市)。試合は、互いに攻めながらも決定打に欠け、0―0で前半を折り返す。後半、気迫あふれるプレーから先制に成功。自慢のDF陣が慶大の反撃を退け、逃げ切った早大は11連覇の栄冠を勝ち取った。
早大のセンターパスで試合開始。序盤、なかなかペースをつかめない早大は、思うようにディフェンスを崩しきれず、攻めあぐねる状況が続いた。それでも、丁寧にパスをつなぎ好機を演習。ゴール前の混戦から鋭いシュートを放ち、待望の先制点かと思われたが、相手GKの好守に阻まれ得点には至らなかった。その矢先、パスの乱れからピンチを招くと、PC(ペナルティーコーナー)を献上。試合の流れが慶大に傾きかけたが、GK南有紗(スポ4=埼玉・飯能)が好セーブを見せ、窮地を脱する。その後、サイドから得点の糸口を探った早大はPCを獲得。得点のチャンスを迎えたが、惜しくも枠をとらえることが出来ず、互いに無得点で前半を折り返した。
勝負の後半を迎えた。何としても得点を奪いたい早大は、アグレッシブな攻撃を展開。しかし、相手の人数をかけたディフェンスに苦しみ、簡単にはシュートを打たせてもらえない。それでも後半9分、敵陣でのインターセプトからFW稲田くるみ(スポ4=佐賀・東明館)が相手DFを振り切りサークル内へ。最後は、「ここで決めるしかない」と、井上燦(スポ4=福岡・玄界)が均衡を破る会心の一撃を決め、先制に成功。攻撃の手を緩めない早大は、MF南家未来(教1=京都・立命館)が巧みなドリブルでチャンスメイクするが、決定打に欠け得点に結びつかない。その後、反撃を試みる慶大に攻め込まれる場面もあったが、早大自慢のDF陣が攻撃の芽をつみ、伝統ある一戦を完封で制した。
試合後「安心した」と、選手たちは安堵の表情を浮かべた。昨年、連覇の数を10まで伸ばし、ことしも連覇が期待された早大。絶対に負けられない気持ちが一際強くなったと同時に、「プレッシャーに押しつぶされそうになった」(片柳)と、選手たちには大きな重圧がのしかかった。独特の雰囲気の中で、本来の力を発揮することは難しかったが、大きな声援を力に、戦い抜いた70分。苦しみながら、気迫でつかんだ白星は大きな財産になったに違いない。そして、息をつく間もなく、全日本学生選手権(インカレ)の開幕を迎えようとしている。悲願の『打倒4強』へ向け、戦い続けた今シーズン。集大成となるインカレに全てをぶつけ、早大旋風を巻き起こす。